映画『空気人形』(ちょこっと修正あり)
映画『空気人形』を見たのは10月後半。
11月に入って、飾っていた秋色あじさいもいつのまにかドライになっていたことに気がつきました。。。
ずっと水変えてたけど、ドライになっても見た目全然かわんないんだもん。
記憶も薄れてきてるのですが、感想書いてみます。
ネタバレありなので一応かくしておきます。
ダッチワイフの話というのは聞いていましたが、始まってすぐのきっついシーン。
うわ~~(´ω`; )
女性的には見たくないかもですね。。。
そういうのもあるのだとわかりつつも、見たくない一面っていうか…。
ま、みんながみんな利用しているわけではないというのも分かっているのですが(そんな所で話をまとめても…)
板尾痛すぎだけど、ぴったりの役(申し訳ない…)と思ってしまったのは、キャスティングを褒めるべきなのでしょうか。
お隣の若いカップルはどんな顔で見てたのかすんごく気になってしまった。
どういう仕組みになってるのかしらなかったもんで、「へぇ~~~。取りはずせるんや~~(驚)」と感心してしまったのはここだけの話で。。。(だからそこを見る映画ではない)
誰であろうと、ご主人様とあらば、性欲処理に付き合わなければならない空気人形(ダッチワイフ)。
そんな彼女が心を持ち、人間に恋をしてしまいます。
そんな彼女が出会う空っぽな人達。
人は幸せになるためにもがく。
けど、傷つくことも多い。
その結果、残るのは「満たされない」という気持ち。
満たされない気持ちを持ち続けることは、無限に続く抜け穴のない地獄。
それから抜け出せるか抜け出せないかで、小さなことでも希望があることに気づけるか気づけないかで、人生の豊かさが変わってくる。
人は、「足りない」ことに目が行きがちだけれども、見方を変えるだけで自分は豊かさに満たされていることに気づけるほど、人の心や感性は柔軟で豊かなのだと思うのですが、すべての人間がそんなに器用に生きることができない。
この映画に出てくるのは、まさしく器用に生きることができない人間達。
見ててとても寂しいです。
この映画の中にあるオダギリジョー演じる人形師の「おかえり」のシーン。
人形師は空気人形の”親”のような優しさで、傷ついた彼女を迎え入れ、とても温かいシーンです。
どんな場所でも帰れる場所(存在)があるというのは心強く、安心できるものです。
自分を待ってくれる、迎え入れてくれる、存在を認めてくれる、あるがままの自分を受け入れてもらえる。
それが心の安定感につながります。
この映画に登場する人達には、そういう場所や存在がなかった気がします。
唯一映画の中でそういう存在があるように描かれていたのは食べることで自分を満たそうとしている女性くらいかなと思います。
そう思ったので、私は彼女には少し救いを感じました。
作品中2回出てくる、空気人形が好きな男の子の吐く息で満たされ、満たされる喜びを感じるシーン。
めちゃ官能的。
どんなに頑張っても容易に満たすことができない人間に対して、容易に満たされる喜びが得られる空気人形。
その大きな違いによって悲しい事が起こってしまうわけですが。
見てて切なくなりました。
キャスティングは全てはまり役で素晴らしかったと思います。
韓国の女優ペ・ドゥナさん。
なんで韓国人?と思ったのですが、映画を見て納得。
彼女が話す日本語が、初めて言葉を発する人形っぽいつたなさとピュアさがありました。
そして、人形並みに美しいスタイル。
見とれてしまいます。
現代社会を凝縮して痛い現実をむき出しにしながらも、希望をなくしたからっぽの人達を否定することなく、優しい目線で作品を作る是枝監督がやっぱり好きだなあと思いました。
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コメント
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映画っていいですよね!自分の思いと監督の思い。いつも感動させられます。監督が何を言いたかったかこまちさんのブログを読んでいてよりわかったような気がします。
この映画の内容とは関係ないですがすごいと思うことが映画のブログを読んでいて書いてありました。
ペ・ドゥナさんさすがにプロですよね。あのメイドの格好で何気なく外を歩いていますが実は、1月なんです。まったくそんな雰囲気ありません。
当たり前かも知れませんが私には出来ません。
投稿: ninjin_m | 2009年11月 5日 (木) 23時55分
ninjin_mさん>
監督の考えていることと同じかはわからないのですが、わたしはこんな感じのことを思いました。
この映画は何度見てもそのたびに新しいことに気づけるんじゃないかと思えます。
舞台挨拶なんでチェックしてなかったのか、今更ながら後悔してます。
それにしても、1月にあの格好ですか。
確かにみんな寒そうでしたもんね。。。
女優魂を見せられた気がします。
投稿: こまち | 2009年11月 6日 (金) 11時32分