劇団☆新感線『蛮幽鬼』総評
話は難しそうなのかと思ったらすんなり入ってくるわかりやすさ。
復讐が復讐を呼ぶ悲劇です。
総評なため長くなりそうなので以下隠します。
映像使って背景的なことをちょこっと流してたけど、映像なくても台詞でサラリと説明してくれたらわかるくらいわかりやすかった。
映像の役割って場面転換のつなぎと観客の心理的な盛り上げが目的なんでしょうね。
新感線的つかみの演目を出す場面。
上川さん演じる土門の怒号が劇場中に響き渡りメインテーマとともにタイトルが映し出された瞬間、魂ごと『蛮幽鬼』の世界へ引きずり込まれました。
この始まり大好き~~~。
スモークが滝のように上から流れてくるのもきれいです。
2階席からリピしたい。
今回実は上川さん初生。
でも、映像では何回か観たことあるし、なんとなく馴染みの役者さんな気がしているのですが、今回観てやはり看板役者な人は違うな~と思わされました。
黙って立ってるだけでも演技してるっていうか、主役オーラが出てます。
最初のさわやか夢ありキラキラ青年から復讐の鬼に変貌するも、結局は自分の中の人間味を捨て切れなかった土門をかっこよく演じてました。
ちょっと惚れたかも。
『SHIROH』で魅せられた立ち回りも更に磨きがかかった感じで、更に重みと凄みがあってよかったと思います。
ヘンリー6世見たくなってきた~~!!(しかし2万3千円~~~!!)
今回のツートップの片割れ堺さん。
元々早稲田の演劇から出てきた人だとは知ってたけど、周りの人が言うほどテレビドラマ見てもそれほど魅力を感じたことがなかったので、上川さんとツートップってどうなのよって思ってましたが、観終わって、土下座したくなってしまいました。
堺さんもすごかった。
能面のように張り付いた笑顔で人を簡単に殺していく殺人鬼サジ。
結構舞台端で目の前に繰り広げられていることを冷静に眺めて頭をフル活動させている感じの様子が見ていて面白かったです。
あの笑顔の殺人鬼は彼しかできんだろうな~。
笑顔だけど心から笑ってない不気味な笑顔と会話の中に見え隠れする用意周到な策略家的な部分と幼稚な部分のバランス。
とても怖い。
稲森さんは、あまり期待してなかったのですが、結構よかったなあ。
終盤の大王として死のうとするところからラストまでの演技はとても良かったです。
今回最大に楽しみだったのが早乙女太一君ですよ。
昨年夏に金沢で彼の田原坂という剣舞を観て以来、「いつか新感線に客演して欲しい!」と祈り続けていましたが、それが叶いました。
彼の舞台を少し観にいきましたが、やはり大衆演劇に興味が持てず、最近は彼の舞台を観に行くのは止めて客演してくれるのを待とうと思っていたのですが、久しぶりに見てやっぱり美しいわ~~(うっとり)
演技はいつも一本調子でもう少し頑張ってほしいなと思いますが、千秋楽では結構いい演技してたと思います。
それより若干18歳のくせにあの色気。
18でそれだと将来女がほっとかんよ。
いやすでに今もそうですけどね。
劇場でも初早乙女太一らしい若い女の子が「早乙女太一君美しすぎる!目はなせへん!!」と興奮してました。
大衆演劇の劇団2代目に対して申し訳ないけど、わたし個人的には客演してる彼のほうが好きです。
もっといっぱい客演してほしいなあ。
トゥーランドットのミンも美しさと色気が際立って目を奪われたし、今回も台詞は少なかったけど、彼の得意とする殺陣を十分に発揮することが出来ててすごくよかった。
他の優れた役者さんと並んでも彼の存在感は消えることなく、更に際立つんですよね(褒めすぎ)。
大阪初日の殺陣観た時、他の人にあわせて少しゆっくり動いていると思ったんですが、終わりに近づくにつれてそういう違和感もなくなっててたように思いました。
上川さんとの殺陣なんて生き生きしてたっつうかすごかった。
あの仕事っぷりからすると、また新感線に客演してくれるだろうなあ。
その時を楽しみにすることにします。
その時までには演技に磨きをかけてきて欲しいです。
惜春演じる千葉さん。
言ってることはすごく正論を言ってるんだけど、表情とか見てると「な~んかこいつうさんくさ~」って感じでしたが、やっぱりな展開でした。
頭脳派なねちっこいいやらしさを演じてても、かっこよかったです。
蔵人演じる山本さん。
この人も、いい役だったなあ。
「信じるに足るものを信じる」
土門を信じていたけど、結局昔の友と戦わなくてはならない苦悩。
切なかったなあ。
劇団員の方は脇でがっちり盛り上げてくれました。
聖子さん演じるペナン可愛すぎ。
今回の作品の中で一番好きなキャラクターでした。
個人的な希望としては、土門とうまくいってほしかった。。。
だって、純粋で一途でキュートなんだもん。
恋心叶えてあげたくなっちゃう。
じゅんさんは、相変わらず悪い役なんだけど憎めない~~~!!
コール&レスポンスコーナーなんてされたら、誰もあなたのこと嫌いになれないの(爆)
相変わらずこけての顔面打ちがうまいし…。
両親と観にいった時、父が「この人芸人?」と言ってました(爆)
父よ、じゅんさんは面白すぎるけど新感線の人気役者さんですよ。
ま、こんな感じで今回も新感線は満足度高かったです。
けど、不満がないわけでもないのです。
一人ひとりのキャラクターの描き方が浅いかなと思いました。
派手な映像、音楽、照明、舞台美術、かっこいい立ち回りなんかの力技で最終的には納得させられた気がするけど、キャラクター一人ひとりの心情が伝わりにくかった気がします。
あんなに泣いたくせにえらそうに!!って感じですが。。。
あそこまですごいの作ってもこんなこと言われてしまうなんていのうえさんも大変だなあと思ってしまうのですが、それだけ完成度が高いからもう少しっていうところが際立ってしまうのかもしれません。
でも、大好きな舞台であることには間違いないです。
いつも新感線に感じるカタルシスは感じた(笑)
今回もやってくれたな~って感じ。
クドカンの『蜉蝣峠』も悪くはなかったけど、やっぱり中島さんの書くいのうえ歌舞伎が大大大大大好き。
サントラ買って毎日聴いてるけど、お粥ソングが入ってないのが残念。
あの歌好きです。
飛頭蛮登場の曲もいい。
大河を楽しみにしている両親は、一緒に観た帰り「こんなん観たら『天地人』の最終回観てもおもしろくないわ」と言って帰っていきましたよ。
恐るべし新感線。
春の公演が楽しみでなりません。
早く春になってほし~~~!!
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