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2008年8月17日 (日)

WOWOW 『トゥーランドット』

先日WOWOWで宮本亜門演出の『トゥーランドット』を観ました。
この舞台は梅田芸術劇場で5月に観劇済み。
生で観ると迫力はあるけど、テレビで観ると劇場では聴き辛かった歌詞や台詞がちゃんと聴こえるのでありがたいですね。

この舞台の素晴らしさは、脇を固める人達と演出とスタッフの方の仕事でしょうか。

メインの人達よりも、脇の人たちのほうが魅力的に見えます。
タイトルロールを演じたアーメイなんかは、歌は間違いなくうまいのだけど、なんでこの人をキャスティングしたのでしょうか。
中国人でないといけない理由があったんでしょうか。
オリンピック年だから??
日本語いまいちだし(それは仕方ないのですが…)、化粧してるからわからないけど、元々クールビューティというわけではないから、イメージ違うし、国王としての威厳やカリスマ性がないし、女性として揺れている微妙な気持ちなんかも伝わってこない。
カラフ王子演じる岸谷五郎なんかは、国を追われて旅を続けているという境遇があるにしても、王子って感じじゃないのよね…。
それに、肝心なこの2人がお互いに惹かれているのがあまり伝わらないんですよね。
中村獅堂演じるワン将軍は、ただ単に権力が欲しいだけの人って感じにしか見れなかったです。
本当は、トゥーランドットを愛しているんだろうけど、うまく愛を表現できない苛立ちとかそういうのは感じられずひたすら怖い人だった気がします。
カーテンコールの時、舞台中央にある大階段を駆け下りてくるのですが、全く足元を見ないところはすごい。
観客からしたら怖いんですけど…。
アーメイ以外の2人は歌よりも演技力をかわれての出演だったと思うのですが、なんかしっくりこなかったなあ。
申し訳ないですが、この3人からは微妙な感情の揺れをは伝わってきませんでした。

脇を固める人の中で目を引いたのは、ゆっきーこと北村有起哉さんとなっちこと安倍なつみさんと早乙女太一君でしょうか。

ゆっきーの道化チックな役回りを器用にこなすところはやはり役者としての幅の広さを感じます。
ほんと実力のある人だと思います。
観るたびに感心させられる役者さんですね。
最後、商人だったはずの彼がトゥーランドットの側に仕える偉いさん?みたいになってるのが笑えたのですが…。
それにしても、冒頭の饅頭欲しかった…。
わたしの隣の人がゲットしてた。
いつかシェイクスピアの道化役(たとえば『間違いの喜劇』とか)を観てみたいなあ。

なっちは観るまで期待してなかったのですが、この人、ミュージカル女優としてがんばって欲しいと思いました。
歌なんかはミュージカルなんかでやるにはまだまだな気がしますが、感情表現が豊かでよかった。
「愛」というものが理解できない早乙女太一君演じる宦官ミンに、とても前向きに「愛はどんなものにも存在している。愛とは愛するためのもの。見返りはもとめてはいけない。生きること。相手を信じること。神様が人間に与えてくださった力」と説いて歌うシーンは感動しました。
彼女がこの歌を歌うシーンは太陽のようにキラキラしてまぶしかったです。
その後、カラフ王子を逃がした罪を咎められ鞭を打たれたミンを救い出して看病をしてミンが目を覚ました時に歌った満月の歌。
あんなに信じていた王子に結局振り向いてもらえず、どうにもならない自分の思いを切なく歌い上げる姿にめちゃめちゃ泣きました。
そんなリューを後ろから抱きしめるミン役の早乙女太一君ですが、やっぱりきれいなんですよね~。
女形の時よりもこの男でも女でもない存在である彼はマジ美しいです。
ソロでトゥーランドットの前で舞う姿が暗闇の中に浮かぶ蒼い月のように神秘的でした。
昔ワン将軍に売春宿で下働きしていてそこで鞭打たれていたところを救われてワン将軍に恩を感じているミンですが、2人はイケナイ関係にあるような設定なのかな?って感じでしたね。
最後、自分を救ってくれた昔のワン将軍に戻って欲しいと身を賭す姿に涙が出ました。
台詞も少ないし出番も少ないけど、とても印象的な役だったと思います。
この舞台トゥーランドットとカラフ王子のラブストーリーという感じではなく、リューとミンの見返りを求めない純粋な愛の物語といった感じがしました。

あの群集をあそこまで美しく演出できるのはやはり宮本亜門さんだからではないでしょうかね。
ミュージカルはあまり見ないけど、この人のは美しくて豪華で楽しめるし、最後はやはり大きな拍手をしたくなる作品を作ってくれます。

久石譲さんの音楽は、ラスト一瞬『千と千尋』を思い出させるものがありますが(笑)、やはり、感情の揺れや盛り上がりを表現する音楽だと思います。
なっちのソロとか群集が迫力満点に歌い上げるシーンの音楽は、観ている者の気持ちを揺さぶります。

衣装のワダエミさんも素晴らしく、それぞれの役どころにあった衣装を作られて、素晴らしい。
役者の動きと共にすごくきれいな動きをします。

あと、松井るみさんの舞台美術はすごいです。
宮本さんとよくお仕事されている方ですね。
劇場に入った時に驚いた、金属をいっぱい組み合わせた物(ジャンクアートっていうんでしょうか?)がすごく目を引きました。

ああ、もう一回なっちの歌聴くかな~。
というか、サントラ欲しい。

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コメント

見逃してしまいました。。残念!

実は以前、亜門さん演出で痛めにあっているので(なんて大ばあなんでしょ・笑)是非、亜門さん演出の好い作品に出会いたいと思っていたのです、、、また、放送しないかしら。。。

亜門さんで痛い目って何があったんでしょうか?
どんな作品でも、あうあわないありますからね~。
トゥーランドットもメインのキャストがいまいちだったということもあり、文句なし!というわけではないですからね。。。
物語りもガラリと変わってしまってたし。
今回は印象に残った人が多かったという感じです。
WOWOWはリピート放送あると思うので、またいつか見れると思います。
その時はまた感想聞かせてくださいね。

先日、久石譲さんのコンサートに行きました。
一部がトゥーランドットだったので、全曲満喫。
芸大出身のお二人が歌ってくださいました。
アンサンブルは地元三重の合唱をされている方たちの合同コーラスでしたが。。。。久石さんが作曲だから、彼のコンサートに行けば聞けると思いますよ~

原田美枝子と南果歩さん出演の「メアリー・ステュアート」です。
大きな声を張り上げて怒鳴るような話し方ばかりで、お二人とも声を枯らしてらっしゃいましたから、聞き苦しく、原田さんに至っては、台詞が入っていないのか、思い出し思い出ししゃべってる感が否めなかったのです。。

『どこかの演劇雑誌で読んだのですが、野田秀樹さんが「日本の客は、つまらないと思っても途中で帰らないからダメだ。だから演劇が育たない」という意味のことをおっしゃっていました。イギリス留学から帰ってきた時のインタビューだったかな。
 それを読んで以来、私は我慢しないで席を立つようにしています。観客はそういう意思表示をしてもいいと思います。』
と評論されていました。

でも、そんな印象のままでは嫌なので、他の作品を観たいと思ったわけです。

理可さん>
もしかして武道館のコンサートでしょうか
NHKで放送があるみたいなので、見てみたいと思います
トゥーランドット是非全曲聴いてみたいです。
ライブで聴ける機会があるといいんですけどね

智美さん>
メアリー・スチュアートはそんなにダメだったのですか
観に行こうかと思ってたんですが行かなくて正解だったかも
ミュージカルに関してはある一定の質を保とうと思うと、ミュージカルの特訓を受けた役者さんじゃないと難しい気がします。
結構キャスト決まってる時点で仕事が来て演目探す場合もある(というか多い)ので、演出家も大変なのかもしれません
でも、日本の観客はつまらなくても席を立たないっていうのは、ありますね。
やっぱり勿体ないとか、申し訳ないとか思っちゃうんでしょうね

はい。 
でも、もったいなくって席立てない(笑)

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    観劇(蜷川幸雄氏、劇団☆新感線、野田地図中心)、映画鑑賞、美術鑑賞、ハンドメイド、クッキング、ネットショッピング
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    高橋洋、藤原竜也、勝地涼、古田新太、阿部サダヲ、橋本じゅん、早乙女太一、市川染五郎、竹野内豊(みなさん役者として尊敬してます)

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