金沢21世紀美術館『ロン・ミュエック展』
23、24日の二日間金沢に行って来たのですが、行くと決まった時に、何か面白い美術展はやってないかと調べて出てきたのが、金沢21世紀美術館。
その時期には『ロン・ミュエック展』というのをやっているという案内がありました。
何かめっちゃリアルな赤ちゃんの写真…。
しかも、赤ちゃんのサイズから言って周りの人がめちゃ小さい…。
「なんじゃこりゃ~面白そうじゃないの~
」(←どないやねん
)って気持ちが盛り上がり、金沢に行ったら絶対行こう!と心に決めていました。
この美術館、そんなに大きくないけど、円形で周りはガラス張りで開放感があり、建築コンセプトにある「様々な出会いや体験が可能となる公園のような美術館」という言葉がぴったりの建物でした。
美術に興味がある人だけでなく、建築に興味がある人もこの美術館を見に来るそうです。
中も真っ白でピュアな印象を受けました。
チケット売り場はすごく並んでて、チケット買うまでに少し時間がかかりました。
大学生らしきグループが多くて美術館の中で騒ぎまくってちょっといやだった。
というか、作品の前グループで陣取られたら、他の人観えないっす
ああいう公共の場所では譲り合いの精神でいきましょうね。
チケット買って、展示室に入ったら、いきなり2m近くありそうな大きな人の顔がゴロン。
↓これです。
ひぇ~~リアル
部屋に入ってくる人みんなが次から次へと「すごい~。リアル~」って声上げてて笑えました。
眠っているのか少し口をあけて目を閉じている。
顔の肉づき、肌の少したるんだ感じ、目元のシワ、毛細血管による肌色のムラ、無精ひげの中に少しまざる白髪、鼻の中に見える鼻毛(笑)、小さく開く口の中にある歯、肌のしみ、唇のシワ…。
全てが今にも動き出しそう。
じっとみてたら視線に気づいて目を開けて、「なんだよ。眠らせてくれよ」と眠そうな声で言われそうなくらいリアル。
これ、鼻毛見たときすごい~と驚きましたが、耳毛まで生えてたんですよ~。
どこまで凝るねん
今回の目玉(?)新作の『ガール』は、全長5mくらいあるのかな
へその緒がついた巨大な生まれたての赤ちゃん。
生まれたばかりで何にも汚されてない濡れた感じが残る柔らかそうな白い肌、その肌に所々滲む血、浮き出る血管、少し緊張した感じの手や足。
まだあききってない目の奥にある瞳をじっと見ていると、温かく抱きしめてくれる腕を求めているような頼りなさが見えて、思わず手を伸ばしそうになる。
実際は抱きしめられる大きさではないのだけど、じっと見ていると母性本能がくすぐられてしまいました。
(たいていの人はこれを生で見たら気持ち悪いと思うと思いますが…)
他にも、大きいばかりじゃなくて、小さい人間の作品もありました。
30代後半から40代位の恋人達かな~?って感じの作品『寄り添う恋人達』。
サイズは50cmくらいかな?
女性はショーツだけ、男性はTシャツだけで、男性が女性の後ろから寄り添う感じで寝ています。
2人の身体のたるんだ感じがとてもリアル。
なんだか2人とも一緒にいるのに、幸せじゃなさそう。
めちゃ疲れてる感じ。
表情だけじゃなく小ささからも2人の悲愴感が伝わってきました。
寄り添っているのに女性を抱きしめられない行き場のない男性の腕が2人の間の微妙な空気を表しているように思えます。
作る工程のビデオ流してたけど、これを作るまでにミニチュア作るんですよ。
それから大きい作品にするか、小さな作品にするか決めて、実際の作品に作り上げるんです。
どの作品も、あまりにもリアルすぎて、血が通ってないなんて嘘みたい。
いやいや、生きてたらもっと怖いんだけど…。
ハイパーリアリズムって、写真の上に色付けしてリアルな絵を描くみたいな、アートとして存在する意味がわからないカテゴリだと偏見の目で見てましたが、ロン・ミュエックはわたしの偏見を拭い去ってくれました。
金沢でこんなすごい芸術作品に出会えたなんてすごく感激でした。
相国寺で伊藤若冲の『釈迦三尊像と動植綵絵 120年ぶりの再会』を観た時以来の興奮を覚えました。
今回の展覧会は日本では金沢だけで、次回いつ日本にくるかわからないということをネットで知りました。
この作品達に出会えてよかった~
というか、いつくるかわからないなんていやです~
日本中回って欲しいです。
いつか関西でもよろしくお願いします
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コメント
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すごいのに出会いましたね。
見たいなあ。
東京に来るかしら?
投稿: 智美 | 2008年8月27日 (水) 00時06分
智美さん>

今回の展覧会は金沢だけみたいです。
せめて東京、大阪くらいはやってほしいものです。
いつか関東で公開されたら観ていただきたいです
見応えバッチリですよ
投稿: こまち | 2008年8月27日 (水) 19時28分
素敵な出会いですねー
私もアートは好きですが
知ってるのはほんの一部。
一度雑誌で観て衝撃を受けた
岩崎永人さんの流木アートを
生で観たいと思ってます。
http://www.k5.dion.ne.jp/%7Eiwasaki2/PREFACE.html
投稿: こみ | 2008年8月28日 (木) 00時09分
始めましてsblogです、只今 Nomad's Dreamさんの記事を拝見致しました、有難う御座いました。
頑張って下さい。
投稿: sblog | 2008年8月28日 (木) 08時58分
こみさん>
ロン・ミュエックはオススメですよ。
また関西で展覧会あったら見ていただきたいです。
流木アート、どんなんかと思ったら、組み合わせて人の形してるんですね!
すごい!
とっても躍動的。
観てると生命力感じます。
やっぱりアートってすごい!楽しい!!
sblogさん>
はじめまして。
こちらこそ、コメントありがとうございます。
また、宜しくお願いします。
投稿: こまち | 2008年8月28日 (木) 22時39分
岩崎さんの作品で最初に雑誌で見たのは
森の中で佇んで空を見上げているトリソーシリーズ物でした。
インパクト大でしたよ。で、本人が…めちゃくちゃかっこよかった…
(ここがポイント高いかも…)
今度画家ではかなり好きな佐伯祐三さんの作品展に行く予定です。
投稿: こみ | 2008年8月29日 (金) 01時58分
こみさん>
佐伯祐三がすきなんですか。
佐伯氏は重厚な色彩と明るい色彩のコントラストが良いですね
わたしは、今回心を揺さぶられてしまったロン・ミュエックをはじめ、伊藤若冲、草間彌生など、作品から毒と偏執狂的な作家の性格を感じる作品が好きみたいです。
投稿: こまち | 2008年8月30日 (土) 11時34分