蜷川さん演出、吉田鋼太郎さん主演、蒼井優出演の『オセロー』を見ました。
数年前にロイヤルシェイクスピアカンパニーのこの演目を見たことがあるのと、戯曲は読んでいったので話は知っていました。
でも、最初のイアゴーとロダリーゴーの会話聞きづらくて眠かったです。。。
なんであんな話し方なんだろう。
まあ、声を潜めてっていう感じなんだろうけど、あそこ聞こえなきゃなんでイアゴーが復讐に燃えてるのかの理由がわかりません。
一緒に行った両親は「最後までなんで復讐したかったのか出てこぉへんかったなぁ」と言ってました。
いやいや、最初に言ってたのよ~~。^^;
出だしがそんなだったので(?)最初の30分ほど眠かった。。。
2幕目は盛り上がって目が離せないって感じでしたが。
オセローは昔RSCの舞台を観たときも思ったのですが、はっきし言って「まぬけな愚か者」ですよね。
なんであんなの信じちゃうのか…。
実際愛してると思っててもコミュニケーションが取れてなかったとしか思えないのだけど。
まぁ、私が言ってるのはいちゃもんな感想なんだろうけど、実際おかしい。
部下とはいえ、自分のプライベートにはまったく関係ない人間の言葉を信じちゃうなんてねぇ。
愛しすぎて、自分を傷つけたくなくて疑心暗鬼になってしまったといった感じなのかな。
オセローのゆれる気持ちをうまく表現した吉田さん、ほんと表現力のある役者さんだなぁ。
強いだけでなくその中に人間の弱さ(人間くささ)を表現するのはうまいなあといつも思う。
それにしても、最後ベッドのシーンきれいだった。
いろんな人の墓場になる場面だけど、とても清らかで美しかった。
愛する男の誤解によってその男の手で殺されてしまったけれど、蒼井優の透明感のあるデズデモーナの最後のシーンにふさわしい美しい場所に見えた。
最初デズデモーナを彼女がやると聞いて、なかなかぴったりだと思ったのだけど、それ以上に、オフィーリアをやって欲しいと思ったのよね。
いつかは彼女のオフィーリアを見てみたいもんですな。
最後に、あの難しいイアゴーを立派に演じきった高橋洋さん。
見るたびに素晴らしい役者さんに成長していきますね。
残虐なんだけど肩に大きな悲しみと孤独を背負っているようにも見えて、彼の人生の中において何が彼をそういう人間に仕立ててしまったのだろうと見ながら切なくなってしまいました。
高橋洋さんを何年も舞台で見ていますが、彼のすごいところは舞台上に出てくる役の人生の背景までも考えさせてしまうところ。
見る度に力をつけていく役者さんで見ていてとても楽しいです。
今回は諸事情により1回しか観れなかったのだけど、1回でも堪能できた内容の濃い舞台でした。
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