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2007年8月24日 (金)

恋とは溜め息と涙でできている。

先日大阪のシアタードラマシティで観た蜷川幸雄演出、成宮寛貴&小栗旬主演の『お気に召すまま』で出てきた、わたしがとても大好きな台詞の一節。
3年前埼玉で初演のあったこの舞台、どうしても観たくてはるばる京都から観にいきました。
その時、主演のお二人のファンで一杯で、観客席全体が浮き足立ってるような感じで、馴染めなかったのですが、舞台が始まると、とても清清しい恋愛喜劇で、笑いアリ涙アリでとても楽しい舞台だと思いました。
蜷川さんのシェイクスピアの喜劇シリーズは『オールメールシリーズ』と言われ、男性ばかりで演じられることになっています。
このシリーズで公演されている演目すべて観ていて、『間違いの喜劇』も『恋の骨折り損』の2作は面白かったけど、ストーリー的にはあまり深みの無い、ただ単に面白いというだけの話でした。
けど、記念すべきオールメールシリーズの第一弾となった『お気に召すまま』だけは違う。
台詞に深みがあるというか、主役だけでなく脇の登場人物に到るまで、深い思いや人生観が感じられる台詞がたくさん出てくる。
その中でタイトルの台詞がわたしの胸を揺さぶりました。
その時にこの台詞を聞いて、改めて戯曲でゆっくり読みたい!と思って松岡和子氏の訳本を手に入れようとしたのですが、その時は発売されず…。
再演直前になってようやく販売になり、速攻ゲットして何度も読み返して、初演の時の切ない気持ちを思い出していました。
タイトルの台詞は、劇中で、男性に扮している主役のヒロインのことを羊飼いの娘が好きになってしまって、ヒロインはつれなくするんだけど娘は納得がいかず、自分にずっと片想いしている羊飼いに「恋とはどういうものかおしえてやって!」と言って、羊飼いが口にするもの。
「恋とは溜め息と涙でできてるもんだ。
恋とは忠実な心と献身でできてるもんだ。
恋とは気まぐれな空想でできてるもんだ…」
恋というものはどういうものかということを羊飼いが切なく語り、その場にいる登場人物が愛おしい人を想い呼応する。
とっても叙情的でステキなシーンでした。
恋ってどういうもの?って聞かれると、大してボキャブラリ-のないわたしは「ドキドキ、ワクワクして時にはイライラして切ないもの」って答えると思うのですが(一緒にすんな?)、シェイクスピアにかかれば、恋というものがとても詩的に表現されます。
しかも、聞いていると「確かにそうだ」と共感できてしまう。
古い古典の戯曲って思うととってもかしこまって観ないといけないような気がしてしまいますが、蜷川さんに演出されるとそんなにハードルが高いものではなくなってしまう。
シェイクスピアの中に、現代を生きている人にとっても、身近で共感できる台詞がいっぱいあると気づかされる。
私たちの中にシェイクスピアの時代に生きた人との共通点が見えてくるようで面白いなと思います。

とにかく、観終わった後笑顔で劇場を去ることができる演目でした。
一緒に観にいった友達もハッピーな気分になれたみたいで、よかったよかった。
前回も今回も2回ずつ観ましたが、もっと幸せを感じたい!と何度も観たいと思わせる舞台でした。
その舞台も明日仙台で千秋楽を迎えます。

※噂によると、11月に3年前の映像がDVD化されて販売されるとか。。。
しかも『恋の骨折り損』とセットだそうです。
なにぃ~~!絶対買わないといけないセットじゃん!
両方とも何度も観てしまいそうです。

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    こまち
  • *Hobby*
    観劇(蜷川幸雄氏、劇団☆新感線、野田地図中心)、映画鑑賞、美術鑑賞、ハンドメイド、クッキング、ネットショッピング
  • *My favorite actor*
    高橋洋、藤原竜也、勝地涼、古田新太、阿部サダヲ、橋本じゅん、早乙女太一、市川染五郎、竹野内豊(みなさん役者として尊敬してます)

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